全身が血まみれになったような錯覚がおこる。 心奥の呻吟(しんぎん)が、矢楚を飲み込む。 あらがえない。 矢楚もまた、美鈴のようにこの場で罪を打ち明け、許しを請いたくなった。 ふいに強い視線を感じる。 我に返り目をあげると、 沙与が見透かすように、そして咎めるように、じっと矢楚を見ていた。 「全部、妻の責任なのよ」 母がつぶやいた時、 「いい加減にして!!」 沙与が空気を震わすような声で一喝した。 「あの男が死んだのが、私たちのせいなわけ、ないでしょう!」