美鈴はさらに何かを呻(うめ)いたが、泣き声に埋もれてしまった。
お下げにした髪は乱れ、涙でぐちゃぐちゃの顔にいく筋か張りついている。
切れ長の大きな瞳は泣いて擦ったために赤くむくみ、
美しい面立ちは見る影もない。
美鈴は父に何を言ったのだろうか。
親友と不倫し、別れた後に精神が破綻した父をどう罵ったとして、
誰が美鈴を責めるだろう。
しかし父が命を断った今、美鈴は畏れている。
絶望の淵をさまよっていた父の魂に、自分が最後の一押しをしたのではないかと。
違うよ、美鈴。
父さんがさまよったその絶望自体、オレが作ったんだ。


