『それって…』 「目撃証言から見て、自殺したに違いないって、言われた」 数秒、沙与は沈黙した。 『した、って警察は言ったの?つまり、もう…』 「うん、父さんは、もう…」 『…海』 「港から、車で海に」 『……。矢楚、大丈夫?美鈴は?』 「美鈴にはこれから話す」 こんな時に気丈さを失わない沙与は心強い。 母のことや親戚への連絡を頼んで電話を切ると、 矢楚は次に葬儀屋に電話をかけた。 父の遺体の検死が終わったら、警察署から引き取ってもらうために。