「そう。
だから気は進まないけど。
今度また追い掛けてきたら、はっきり言うつもり。
偽物には、もう用はないの。あなたと矢楚では、男としての格が違う、って」
また、あの顔だ。
虫けらを見る蔑みの目。
だけど不思議だ。
この、残酷さに宿る気品は何だろう。
天衣無縫の美。
あるがままの彼女には、他を圧倒する迫力がある。
それの前に、
無垢や純粋さなど、
そして優しさなど、かすんでしまうほどだ。
だけど、こんなことはいけない。
矢楚のお父さんを踏み付けにしてはいけない。
だって、もう。
十分すぎるほど壊れてしまっている。


