「月島さん、行こう」 亜希は広香ではなく、真っすぐに矢楚の父を見据えて言った。 同年代の子が、人に対してそんな表情をするのを、初めて見た。 虫けらを見るような、 蔑みに細められた目。 茫然とする広香の手を、柴本亜希が引いた。 引きずられるように歩く広香は、後ろを振り向いて矢楚の父を見た。 追い掛けようとしたのだろうか。 わずかにその足が動いた気がした。