ふわりと頭の上でストールを広げた瞬間、 熱く湿った風が強く吹いた。 砂埃を巻き上げながら、広香の指からストールをさらう。 「あっ。ごめん!」 広香は慌ててストールを追った。 地面に落ちた淡いピンクに手をかけたとき。 「亜希!」 真っすぐな波動のように、ずしん、と声が届いた。 ストールを掴み、声のしたほうを返り見る。 男の人が立っていた。