「月島さん、帽子は?」
「忘れちゃったの」
「日射病になるよ」
呆れたように言って、柴本亜希はバッグに手を入れた。
広香に歩み寄る。すらりと高い背。淡いピンクの布を取り出した。
「これ、ストールだけどUVカットだから。
頭に掛けて。日除けになる」
「あ、うん……ありがとう」
ためらいつつストールを受け取ると、するりとしたシフォンの指触りがひんやりと感じられた。
間近に立つと、小柄な広香の目線は、柴本亜希の鎖骨辺りになる。
じっと見下ろされているのが気配でわかる。
頭に掛けるのを待っているのだと気付き、広香はストールを広げた。


