ファッション誌から抜け出たような柴本亜希を眺めることはできても、広香はその目を見ることができなかった。
矢楚への変わらぬ想いが、とてつもなく、後ろめたかった。
だから柴本亜希のふっくらと艶のあるくちびるに視線を合わせて、広香は答えた。
「試合、観にきたの」
柴本亜希は、自分の髪を指ですくうように撫でる。
「ひとり?」
「ひとり」
「私。今日、誕生日なの」
「え? 、あ、おめでとう」
「一緒に観ない?試合」
広香は、思わず柴本亜希の目を見た。
断る理由がなかった。
一人だと言ってしまった。
誕生日だと聞いてしまった。
強い日差しに細められた柴本亜希の目は、
何もかも見透かすようで。
しかも、楽しそうにきらめいている。


