めずらしく張りのある声で知也が言った。
「実力試験ってさ。
部活を試験休みにするのはいいけど、範囲が広すぎて手の付けようが無いよ」
この一言で。
感傷の海に浸りこむ広香たちを、男子の力強さを見せて知也がひっぱりあげてくれた。
木綿子は、弾かれたように快活さと強さを取り戻した。
「知也の本当の実力が分かるってわけね」
「いや、残念ながら、オレの実力はお見せできませんね」
広香も笑って加わった。
「実力試験は、上位100番までしか貼り出されないもんね」
「そのどこにも名前がないんじゃあ、確かに分からないね、実力のほど」
からかうように言った木綿子に、知也は渋く言った。
「秘すれば花、って知らないの?お前ら。
オレのことはもういいだろ。
なんだよ、聞きたいことって」
玄関で知也を呼び止めて、ゆっくり話せる場所で、とこの部室に移動してきたのだ。
喉に刺さったままのトゲを、抜かなくてはならない。


