廊下の窓から差し込む、 七月の太陽の温かさ。 矢楚と自分の静かな呼吸の音。 安らぎに包まれ、広香は思わず目をつむった。 まぶたにオレンジ色の暖かい光が満ちる。 「矢楚」 「ん?」 目を開けて、広香は矢楚を見た。 眉を少しあげ、首を少しかしげて、広香の言葉を待ってくれている。 「光が、いっぱいだね」 そうだね、と眩しそうに窓を見上げる矢楚のまつげに、光が降り積もっていた。