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「柴本亜希、いるかな」
教室の入り口にいた知らない男子に聞いてみる。
特別進学クラスに来たのははじめてだった。
普通科とは階が違う。
何より、広香の世界だ、足を踏み入れるなんてできなかった。
柴本亜希の教室も、広香のも知らなかった。
特別進学コースは2クラス。
柴本亜希がいるか直接尋ねるしか探すすべがなかったが、
広香と鉢合わせてしまったら、と思うと辛かった。
『食券も買えないくせに、他の女と付き合えるの?』
さっき知也に言われた言葉が甦る。
矢楚に尋ねられた男子は、窓際で机につっぷしている女子を指差して言った。
柴本亜希は、あれ。
昼食時間とその後の休憩時間45分。
食事を強制終了させられたあと、知也に問い詰められていた。
残った休み時間は15分もない。
矢楚は、この教室に広香の姿がないことに安堵しつつ、柴本亜希の席に近づいた。


