「ふざけんな。箸を置け」
知也は、矢楚から食べかけの丼を取り上げると、自分の器と一緒にトレーに載せた。
「飯は終わりだ、来いよ」
知也は完全に怒っている。
荒々しく立ち上がると、返却口に向かった。
慌てて追いかけてきた矢楚に、知也は前を睨んだまま言う。
「お前の訳の分からん秘密主義は、もう、うんざりなんだ。
お前が、広香に捨てられたときにな、俺がどんなに、後悔したか」
知也は返却口に食器を置いて振り向いた。
「お前が抱えてるのがなんなのか、俺が聞き出せていたら。
お前らの馬鹿なスレ違いを、俺が阻止できたかもしれないって…」
そこで言い淀むと、知也はぎりりと奥歯を噛みしめた。


