男子ばかりが腰掛ける席へ座った。
見ないほうがいい。
そう思って目を背けていても、
遠くの広香に自分の意識が流れ込んでいくのがわかる。
見ようが見まいが、関係ない。
こうして座り、まわりの知り合いから声をかけられ、それに応じていたとしても。
矢楚の意識は川の流れのようにほとばしり、広香という海へ流れ込んでいくのだから。
あらがうことができずに、目を上げれば、わずかな目の動きで寸分違わず広香の顔をとらえた。
ショートだった広香の髪は、丸みを帯びたボブになっている。
知也は、やっと食券販売機にたどりつき、広香にも気付いたようだ。
広香のほうへ近付き、
その傍に立つ木綿子と三人で話している。
わずかに会話を交わしただけで、
知也はさっさと食券を買い、あっという間に丼を二つトレーに載せて、矢楚のもとへやってきた。


