食堂に入ると、席の八割はすでに埋まっていた。
しかも、3分の1は女子だ。
いつもは男子ばかりなのだが、三年の不在が一種の解放感を与え、
女子にも小さな冒険をさせている。
「なんだ、みんな考えることは一緒か」
知也がつぶやいた時、
食券販売機の前に並ぶ女子の一群に、
矢楚の意識が吸い込まれた。
三十メートル近く離れた場所だった。
皆と同じ制服を着てさえ、他の人に決して紛れることはない。
広香。
髪、伸びた?
胸に痛みが走る。思わず立ち止まってしまう。
「知也、オレ、席取ってるわ。お前と同じやつでいいから、買ってよ」
知也は、おお、と答えて矢楚からお金を受け取り、
食券機へ歩いていった。


