「三年がさ、職場体験で全員いないんだ。 だから、学食で食うチャンスだ」 知也は、うれしそうに矢楚の肩に手を置いた。 鷹の台高校の学食は、安くてボリュームがあって、しかも美味い。 しかし定員が二百席で、 暗黙のうちに三年男子が優先的に利用している。 「走るぞ!」 え、と矢楚が言う間には、知也は走って行ってしまった。 「負けた奴が、片付け!」 教室を出るときに言い残して。 矢楚は、にやりと笑って後を追った。