孤独だった。 公立高校に入学したこと、アルゼンチン留学、 そして降ってわいたデビューのチャンス。 父が玄関先で投げた少ない問いで全てが不安に変わった。 目的地や到着時刻を決めて海をゆく船も。 ひとたびエンジントラブルをおこして海流にのってしまったら、思いもかけない岸辺へたどりつく。 どうするか、早く決めなきゃ。 不本意なサッカー人生を送ることになる。 矢楚は自分の体を抱き締めるように腕組みをし、しばらく壁に体をあずけて、想いをめぐらせていた。 すると、リビングで電話が鳴った。