魂の脱け殻みたいだった父を、 柴本亜希が蘇らせたのは事実だった。 春色のシャツを着て、 若い愛人のもとへそそくさと出掛けていく父。 それは胸くそ悪くなるような現実だけど。 まさかサッカーを取り戻すほど、父が蘇生するだなんて、思いもしなかった。 父は、気まずそうに目を背け、矢楚のそばを通りぬけて、玄関に通じる廊下へ向かった。 親父。 柴本亜希のことが、本気で好きなの? その背中に問いかけたくなる。