その日の夕方、練習を終えた矢楚が帰宅すると、リビングからテレビの音が漏れていた。 サッカー番組? 矢楚は廊下を通ってリビングへ続く扉をあけた。 ソファーに座る父の背中と、画面に映るサッカーの映像。 あれは、サッカーのスーパープレー集だ。 次々に神業のようなプレーが流れる。 矢楚は驚いた。 少なくとも、この三年、父がサッカーを観るなんてことはなかった。 サッカー人生の幕引きの無惨さが、父のその後の人生からサッカーを奪っていたのだ。 それが、どうして。