矢楚は、胸の底まで届くような眼差しで言った。
「広香、不安にさせてごめんね。
オレがファンタジスタをめざしてること、きちんと言っておけば良かったんだ。
遠藤から急に聞いて、びっくりしたよね。
オレね、高校卒業したら、アルゼンチンへサッカー留学に行くつもりなんだ。
二十歳になるまでには、プロになって。
二十五歳までには、世界の大舞台で、ファンタジスタと呼ばれるくらいの選手になるつもり。
でね、サッカーに生きるオレのこれからの人生。
今みたいに、広香に一緒にいて欲しい。
まだオレはガキで。
だから何の約束もできないって、そう思ってた。
今オレが広香に贈れるのは、そんな、おもちゃみたいな安物のネックレスだけど。
広香を思う気持ちは本物だよ。
だから、ずっと、オレの傍にいて」


