「広香、おいで」
広香も靴を脱いで隣に座った。
木の根元に座ると、川に向かって花の滝が落ちているみたいだった。
さっきは泣いているように見えた桜が、違う面を見せている。
トクトクと音がするので矢楚を見ると、ステンレスの水筒から飲み物を注いでいた。
「はい、はちみつレモン。どうぞ。熱いから気を付けて」
矢楚は湯気のあがる黄色いプラスチックのマグカップを広香に渡した。
一口すすって、広香はおいしいと小さく声を洩らした。
ほどよい甘酸っぱさ。
「これ」
「オレが作ったんだ。レモンを絞って、はちみつ溶かして」
矢楚は首を傾け、さぁ、ぐいっと飲んでと広香を促す。


