目の前に立った広香に、矢楚は目を細めて言った。 「あれ、赤ずきんちゃんみたいだ」 「お母さんのお古なの」 それを聞いて、矢楚は眉をあげた。 「広香にぴったりだね」 広香が小さく、ありがとうと言うと、 矢楚は嬉しそうに自分のパーカーの赤いワッペンを指差した。 「ちょっとだけ、ペアだね。ほら、赤」 そうだね、と力なく返す広香の返事に、 矢楚は少し顔を曇らせ、身を屈めて広香の顔を覗き込んだ。 「広香。まだ体調が万全じゃないみたいだね」