光の子



すばやいパスが、黒い陣営数人でやり取りされる。


突撃するというより、敵の出方をうかがうように。

ワンタッチくらいでやりとりされるボールの早さに、運動音痴の広香は、目で追うのもやっとだ。


6回ほど回されたパスを、赤のDF(ディフェンダー)が、止めた。


「おっしゃあ!ナイスカット」


遠藤が声を出す。


広香が矢楚の姿を探した時には、
すでにボールは、右サイドのMF(ミッドフィルダー)の矢楚の足元へ届いている。



ドリブルで進む矢楚に、相手は一瞬で反応して、すぐに一人が立ちはだかった。
もう一人、矢楚を止めるべく後方から走りくる黒。


矢楚はすぐにパスを回した。


赤い味方二人が、それぞれ違うスペースに走り込んできていた。


なんで、見えているんだろう。
敵を背負って自分がボールを運びながら、味方の姿もきちんと捉えている。


サッカーに当たり前のことの一つ一つが、広香には驚きだ。