「広香、矢楚来た」 木綿子の声で、広香はピッチに目を向けた。 赤いユニフォームを着たチームメイトの先頭に、矢楚がいる。 腕には黄色い腕章。 ピッチ中央のサイドに陣取る、広香たちの方へ近づいてくる。 矢楚は、広香がまだ見たことのない、緊張感ある研ぎ澄まされた表情をしていた。 矢楚が好きで、胸がいたい。 自分の体全体が、小さな胸にきゅうっと吸い込まれるみたいだ。