柴本亜希に、矢楚の心はぐちゃぐちゃにかき回され、ちりぢりにされた。 背中に悪寒を感じ、腰に力が入らない。 矢楚は再びベンチに腰掛け、大きく息をつくと、強く目をつぶった。 広香。 すがるように、小さく名前を呼んだ。 閉じた瞼の裏、真っ暗な中に、白い、白い、清らかで気品のある花がふわりと開いた。 白木蓮。 矢楚は目を開け、傍らに立つ白木蓮を見上げた。