「柴本の言う通りだよ」 柴本亜希は、矢楚の顔をじっと見ている。 矢楚の顔を目で味わうような、そんな見方をする。 居心地が悪くて気が散る。 矢楚は踏張るように続けた。 「柴本に聞きたいことがあって、呼び出したんだ。 でもそれは、父さんの口から答えを聞くのが嫌だったからなんだね。 自分でも気付かなかったよ。 だけど柴本の言うように、そんなの間違ってる。 呼び出したりしてごめん。今日は、来てくれてありがとう」 矢楚が別れのあいさつをしようとすると、柴本亜希が急にベンチから立ち上がった。