「私からやってみたんだよ、お父さんに話。お父さんは、離婚もしないし浮気もお母さんの誤解だって言った」
「なら、そうなのかもよ」
美鈴は少し救われたような顔で言った。
「そう思いたいのも分かるけどね。
でも毎晩のように、少しオシャレしたお父さんは、一体どこへ行ってると思う?
今、どこにいるのかな」
父は母が自殺未遂したあと、浴びるように飲んでいた酒をほとんど止め、夜になると出かけていき、深夜や明け方帰ってくるようになった。
そんな父の行動も、矢楚と美鈴は家に居づらいのかと単純に受けとめていた。
子どもに合わせる顔がないのかと。


