光の子



いい知れない不安と、ぐちゃぐちゃした感情に襲われ、広香は啜(すす)り泣いた。


この広い場所では、広香の泣き声を誰かに聞かれる心配はない。


広香は、顔を上げた。


広々とした芝生は、まるで緑の海のようだ。

青く澄んだ空と、緑の海の間で、広香は、自分は小さな船のようだと思った。


共に往く人もなく、
かといって、ただ一人往くこともできない、
ただ彷徨うだけの小さい舟。

中途半端に幼い自分が、嫌だ。


嗚咽までが込み上げ、広香は解き放たれたように泣いた。