私の傍にいつまでもいる人ではない。 遠いところへ飛び発つ人なのだ。 両親のことも、 矢楚を強く強く鍛えるために起きた出来事なのかもしれない。 世界でしのぎを削る一流選手に育つために、 矢楚に課された試練。 広香は、 矢楚と自分を離つ大きな運命の流れを、ふいに感じた。 この特別な光を放つ人が歩みゆくであろう、この先の未来に、 自分の姿はない気がしていた。