矢楚を、守りたい。 広香が決意にも似た思いを抱いたその時。 矢楚がゆっくり、広香の胸から顔を起こした。 疲れ果てた顔に、 毅然たる表情が浮かんでいる。 強い、男の顔だった。 苦悩に歪みながらも、 明日を切り開こうとする、男の顔。 「止(や)めた」 「え……。何が?」 「俺って、弱わっちーんだ。末っ子だし、母さんが苦しんでいること知っても、なんもしないで、甘えていたんだよ」