長いまつ毛にふちどられた目が、ふわっと開いた。
ぼんやりと、夢のなかにいるような表情で、
矢楚は広香を見上げた。
「広香‥‥」
目が充血していた。
疲れきった顔だった。
初めてみる矢楚の表情に、広香は胸を突かれて、
矢楚の頬を手のひらでそっと包んだ。
矢楚は、わずかに顔を右に傾け、
広香の手のひらに自らを預けるように、目を閉じた。
まるで、長い旅をした鳥が、羽を休めているみたいだと広香は思った。
遠い遠い処から飛んできた渡り鳥。
この傷つき疲れた鳥を労るように、広香はてのひらにありったけの真心を託した。


