光の子




なんてこと、と母は絶句した。          

「美鈴が満足できるだけのおこづかい、あげれてないものね」

母はぽつりと言った。



五年前までは、現役で、しかもチームの主要選手だった父の契約金で、何不自由ない暮らしをしていた。


しかし故障と年令的限界ゆえ、父の契約金は翌年には半減され、二年前に引退した。
再就職したものの、安月給で働かざるを得ない日々だ。

当然、藤川家の暮らしぶりも大きく変化した。
それにつれて最も生活を変えざるを得なかったのは、二番目の姉の美鈴だった。

一番上の姉は勉強好きで、矢楚にはサッカーがあったが、美鈴は派手好きで、遊びやお洒落に時間と金を費やすほうだった。

美鈴は家計の悪化とともに、仲の良かった友だちとの交際に金が追い付かなくなり、自然に疎遠となった。

高二の美鈴は、一番遊びたい時期に羽をもがれたと言って荒れた。

むしゃくしゃしていた美鈴の心に、亜希はすっと入り込んだのだろう。中3とは思えないほど、潤沢な金を遣って。