鉢合わせないように、ぎりぎりまでクラブで過ごすようにしているのに。 時間をずらしても、柴本亜希は矢楚が帰るまで家に帰ろうとしない。 ここ一ヵ月、頻繁にそんな日がある。 勘弁してくれよ。 矢楚もそろそろ我慢の限界だった。 柴本亜希が美鈴に近づいたのは、矢楚が目当てなのは明らかだ。 しかし柴本亜希は、矢楚が不愉快に思っているのを察してか、あいさつ以外で矢楚に直接話しかけることはなかった。 教室の廊下に立っていた時と同じだ。場所を変えただけでやり方は似ている。