矢楚がクラブから帰宅すると、玄関にピンクのスニーカーが脱ぎ揃えてあった。 またかよ。しかも何時までいるつもりなんだ。 右腕のスウォッチをみる。十時を過ぎていた。一気に疲れが襲う。 「ただいま」 矢楚がリビングへ入ると、下の姉が柴本亜希とお茶を飲んでいた。 二人はくすくすと笑っている。 その様子は、矢楚の話題で盛り上がっていたことを露骨に匂わせ、居心地の悪さに矢楚は苛立った。