知也はチラリと横目で矢楚を見ただけで、 顔を少し上げて天井に目を向けた。 「広香には?言わないわけ?」 「広香に話せないから、知也にもまだ話せないんだ」 「分かんないな、なんで?広香は、聞きたいんじゃん?」 お互い顔を見ずに話しているからか、 思わずぽろりと本音が転がり落ちてしまう。 「広香に洗いざらい自分のこと話したら。 俺さ、弱っちくなっちゃいそうで、イヤなんだ」 みっともない情けない男には、なりたくない。 誰より、広香の前では。