… … … … … … 教室は、むさ苦しい男子が吐く息で、冬なのにむっと湿気が籠もっていた。 窓際の矢楚は、曇った窓ガラスに、 指でサッカーのプレーのシミュレーションを書いていた。 男子を受け持つ体育教師が休んだために、 女子不在の教室で自習をしていた。 課題として用意されていた保健体育のプリントも、 矢楚にはやる気がしない。 こんな日に限って、体育がないなんて。 昨夜の父の暴れ方は凄まじかった。 矢楚は鬱積したやりきれなさや不安を、汗と一緒に流してしまいたかったのだ。