空気中の細かいホコリが、陽の光の中できらきらと煌めき、彼に降り注ぐひかりを厳(おごそ)かにみせた。
まるでその少年が天の祝福を受けているように。
それを受ける少年の笑顔――。幸せそうな様子、屈託のなさ。
知的で精悍な顔に笑顔が浮かぶと、一瞬で幼ない無邪気さにおおわれた。
広香は少年のすべてが美しいと感じた。
少年は、周りの男子に肩や背中を叩かれながら壇上に上がっていく。
リズミカルに走る軽やかな後ろ姿が、少年の高い運動能力を感じさせた。
マイクの前に立ち、すーっと息を吸うと、幼い笑顔が消え、また精悍な顔つきが戻った。
「えーっと、6-3の藤川矢楚です」
柔らかな声だった。しかし明瞭な話し方に、賢さがにじんでいる。


