急いで答えを出さなくていいから。 健人はそう言った。 二人は喫茶店を出て、アパートへ向かった。 道々、柊太の話をして、離婚話や同居のことには触れなかった。 広香が許すなら、一緒に暮らしたい。 許すって何だろう。 広香は、健人のことを慕っていた。今まで母と付き合ったどの男性にも抱かなかった思いだ。 奥さんとのことなんて、詳しく知りたくなかった。 広香は、ぼんやりと考えた。誰かの苦しみのうえに、自分たちの幸せが、築けるものなのだろうか、と。