信じられない思いで、カナタは自分に問いかけた。


今、何を想ったのか--。


一体、何を……。


髪の毛をかきむしる勢いで頭を抱える。


ありえない。

あってはいけない。


「ぅあぁぁぁぁ!」


顔を水にひたしたまま、声の限りに叫んだ。
ゴボゴボと、気泡が耳の横を通り抜け、不快感が一層募る。

それでも、二度、三度と、果てしなく繰り返す。
そうしないではいられなかった。


「あぁぁぁ……ぅっ!?」


ふいに背中に重石を感じ、カナタは、ガブリと水を飲みこんだ。
突然のことで肺は咽せ返っているのに、重くて頭が上げられない。

息が継げない。
呼吸が苦しい。

ガホガホと必死にもがき、のしかかる重みから逃れる。
パニック状態の意識は、なんとか水面から出ると、ひたすらに呼吸と咳を繰り返した。


は、はぁ、はぁ、はぁ


重石こそ感じなくなったものの、まだ締め付けるような息苦しさが残る。
カナタは涙を浮かべなから、なんとか身を捩ってそれを見た。


「………………ミ……ナ」


座り込みずぶ濡れになったカナタに、やはりずぶ濡れのミナが抱きついている。