渡り廊下まで歩くと、先輩たちは立ち止まって私を見る。



「ごめんな?急に」

「あ……いえ……」




なんの用だろう…?

先輩のひとりが制服のポケットからスマホを取り出す。




「これ見てもらえるかな?」



私は先輩から手渡されるスマホを受け取り、緊張しながら画面を見る。



スマホの画面は写真で

夜なのか暗くてよく見えないけど、公園で誰かと誰かが抱きあっている写真だった。




「それ、打ち上げの時のミカンと大輔やねんけど」

「え?」


「ミカンな、あの子まだ大輔が好きやねん」




先輩は固まる私の手からスマホを取り戻すと、制服のポケットの中にしまう。




「私らからしたら、ミカンって妹みたいな感じやねん。出来たらあの子の恋、応援したいんよね」


「・・・・・」


「うちら応援団でずっと大輔とも一緒やったけど……うちらから見ても、あのふたりはお似合いやって思う」


「打ち上げの時も大輔、抱き合っちゃってまんざらでも無かったぽいよ」




うそだ……

そんな大輔くん信じられない……




回らない思考の中でそこだけは反論できる。

でも、声は出ない…

体が震える……








 


「なにが言いたいんですか」


静かな渡り廊下に、陽子ちゃんの声がする。





「言いたいことあるなら、ハッキリ言うてくださいよ」


いつの間にかうつむいていた私は、陽子ちゃんの声に顔を上げる。