そこで気づいた。



紫が返事を求めなかったこと…。



もしかして期待してない?



でも今はただ会いに来てくれたことがうれしくて…。


満足…。



「紫…」



開けっ放しの窓から外を見てももう紫の姿はなかった。



幻覚だったんじゃないかと思うけど、やっぱり抱きしめられた感覚は残ってる。



早く明日になれ。



そしたら話したいこと、いっぱい話すから。



ちょうど明日は土曜日。



休みだから朝から紫に会いに行くと決めて眠りについた。



「お嬢様、朝ですよ」

「朝…朝っ!?」

「はい、朝です」



夢…じゃないよね?



着流しを抱きしめたまま眠ったから、毎日シワシワ。



コレ、返さなきゃ。



コレのおかけでかなりあたしは頑張れたよ。



「マリさん、龍太さん、おはよ!!」

「昨日本家から連絡あったよ、紫様が帰国したって」

「うん!!だから会いに行ってきます!!」

「送り迎え、ね?」



はいはい…。