晴明は無言を返した。

「それだけ相手の力が強かったの。ここ杉沢市は、そういった連中を集める土地なのかもしれないわ」

「確かにこの土地の気の流れは変わってますね」

「だから『活動』は慎重にね?」

「任せて下さい」

晴明はうなずいた。

「先生の信頼を裏切るようなことはしませんし、生徒は絶対に守ります」

「頼もしいわね。さすが安倍晴明」

言った後で、矢尾は目を細め、わざとらしく口を押さえた。

「これ言ったら、まずかったかしら?」

晴明は苦笑しながら、人差し指を唇にあてた。





晴明は否定しなかった。





安倍晴明(あべのせいめい)と呼ばれたことを。





「陰陽(教)師」
第一話 END