「大丈夫だって」

ヒロシは軽薄な笑みを浮かべた。

「オレらまだ18だぜ。未成年だから見つかってもタイホなんかされやしねーよ」

ヒロシはそう言うと、ナナの手をひいて、家の敷地へ入っていった。


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玄関の戸に手をかけると、それはカラカラと音をたてて開いた。

空き家とはいえ、売りに出されている以上は、不動産会社が管理しているはず。

それなのに、鍵がかかっていない。

ナナは不安げに「ヤバいって」と繰り返したが、ヒロシは「好都合じゃねぇか」と全く取り合わなかった。

「行くぜ」

ヒロシはナナの手をひいて家の中にあがり込んでしまった。

中へあがると、ヒロシはダウンのポケットから小型の懐中電灯を取り出した。

右手にカメラ、左手に懐中電灯という恰好で歩を進める。

ナナはダウンの裾をつかんで、ヒロシの後についていった。

懐中電灯で照らす内に、闇に目が慣れ、家の中がわかるようになった。