陰陽(教)師

「ところで、この雑巾に見覚えあるか」

「見覚えもなにも、うちの台所にあった雑巾だし」

「最後に使ったのはいつだ」

鈴子はしばし考えこんだ後、そうだ、と手をたたいた。

「こないだコーンポタージュ作った時…」

「温めた時だな」

「牛乳いれたもん!…で、その時、牛乳こぼしちゃって、この雑巾でふいたんだ」

「ふいて、そのままにしておいたのか」

「変な臭いしてたから捨てようとしたんだけど、つい…」

「なるほどな。それで白うねりになる下地ができたわけか」

晴明は合点がいったようにうなずいた。

「そして化けて出た白うねりは、習性に従い、木下を襲った」

「毎晩あたしに毒気を吹きつけてたのね」

「幸い、大事には至らなかっただけどな」

それにしても、と晴明は雑巾を見た。

「午前0時になって現れたってことは、この白うねりの発生条件は、今日の気と昨日の気が交じり合う時ということか…?」

晴明は何やらつぶやいた後、どこからか袋を取り出して、雑巾をその中に入れた。