陰陽(教)師

顔を真っ赤にした鈴子を尻目に、晴明は白うねりのもとに歩み寄った。

どこからか黒の手袋を取り出し、手にはめる。

甲の部分には陰陽師の代表的な印である五角形の星形、セーマンが描かれていた。

晴明は右手を白うねりにかざした。

【天魔外道皆仏性 四魔三障成道来】

晴明が呪を唱えると、白うねりの体のあちこちから、煙のようなものが吹き出し始めた。

【魔界仏界同如理 一相平等無差別】

呪を唱え終えると同時に、白うねりの姿は、かき消えた。

「先生、白うねりはどこへ行っちゃったの?」

戸惑う鈴子に、晴明は右手をさし出した。

そこにはどこから現れたのか、1枚の雑巾があった。

「これが白うねりだ」

「これが?」

「白うねりは付喪神の一種で、古雑巾が正体の妖怪だ。おそらく今回は龍穴の影響で化けて出たんだな」

「雑巾が強い妖気を浴びたから化けたってこと?」

「おそらくはな」

晴明はうなずいた。