最悪だ。ううん、最低だ。 泣きたくなるのを必死で堪える。 帰ろう、何も見ないように。 あたしが体を浮かせた時、スっと腕が伸びた。 包み込むように回された腕。 「…眞琴?どこに行くの?」 少し寝ぼけた、掠れた声が可愛いくて、柔らかい髪が揺れて、引き締まった体が見える。 現実に引き戻されたのに、また夢に足を突っ込んでしまいそうになる。 だから、 「スグルさん…リングは外さないの?」 彼にも、一時的な夢から醒めてもらわなければならない。