「なんだ、戻ってきたのか」


頬を膨らませるサリナム。


「ファーガルも孵りました。これであとは、サリナム様のお力で雨をーー」


「やだ」


「ちょっと待ってよ!泉に行けば、帰ってもいいって言ったじゃない!」


「言ってない」


「言った!」


「言ってない!」


「別にいいもん!帰るから!」


わたしは先輩の手を引き、サリナムに背を向ける。


「バイバーイ!」


「はいサヨウナラ!」


手をブンブン降ってやるが、次の一言で、ピタリと足を止めることに。


「ずっと雨は止まないけどね」


「え?」


「明日のクリスマスだけじゃなくて、一生、降ったままでもいいの?」


「そんな……」