みんなの親御さんが揃う中、お兄ちゃんは「遅れました」とか最後に来た。

泣きながら顔を上げると、お兄ちゃんは珍しく怒り顔で、私の後ろへと座った。

体操服の私に、ジャケットを掛けるお兄ちゃん。



「今回は我々、教師一同の監督不行きで、来島さんを傷付ける事になってしまいました」



校長の挨拶に、基槻の手の力が強くなる。

葵衣のお母さんは、「申し訳ございませんでした…」と、涙ぐみながら、頭を下げる。

すると、お兄ちゃんの隣に座ってた基槻のお母さんが、「泣かれても、私たちは同じ子を持つ母親として、許せませんよ」と、怒りを露にした。