「入りなさい」



教頭にそう言われ、5人で多少キツさを感じながら座る。

俯く遊の手を握りながら誰かが口を開くのを待つ。

ーーガチャ

すると、職員室と校長室が繋がる扉が開いた。

そこには、学年主任と、それぞれの担任が居た。



「全員の保護者と連絡が付きました」



学年主任が校長に告げる。

すると、遊が俺の手を握ったまま立ち上がった。

みんなが一斉に遊を見る。



「来島さん、どうかしました?」



教頭が訊くと、遊が「いえ…」と座り直す。



「お兄さんなら、休憩時間を利用して、見えるみたいですよ」



担任が遊の気持ちに気付いたのか、遊を慰める。

けど、遊は、俺と繋いでない方の手で顔を多い、泣き始めてしまった。