運ばれてきたココアの湯気が、優しく包み込んでくれた。 「なぁ、椎野」 「ん?」 いつになく真剣な面持ちの英士くんの表情から、何を言われるのか想像がつかない。 ただ、いつもは、『おい』とか『なぁ』とかしか言われてないから、苗字を呼ばれて緊張してしまう。 彼も、何か意に決めるかのようにもう一度コーヒーを口にしてから言葉を放った。 「俺じゃアイツ(拓海)の代わりになれねぇか?」 「えっ!?」