キスフレンド【完】


「……――んっ」


重なり合う唇。あたしは、今日もまた壁づくりに失敗した。


茶色い瞳に見つめられると、何も考えられなくなって。


これから先のことなんて、誰にも分からない。


もしかしたら、明日ポックリ天国に行っちゃうかもしれないし。


紫苑のお母さんが家に戻ってくるかもしれないし。


余命一カ月って言われたシロが突然元気になって部屋を走り回るかも知れないし。



ありえないかもしれないけど、可能性はゼロじゃない。


後先考えずに行動するのも、たまにはありな気がする。